2007年12月2日日曜日

あーあ、俺にそれっぽいものじゃないものを作る才能があればなぁ!!

 最近、恋空(笑)に毒され過ぎている。

 VIPで恋空(笑)に関係する糞スレを立ててからというもの、
男三人で劇場まで足を運びカップル渦巻く最中に突撃したり、
友人の後輩が入手した書籍を通行人が多いロビーで読破したり、
精神修養以外の何者でもない行為を繰り返している。

 なぜ恋空(笑)は私の心を悪い意味で掴んで話さないのだろうか。

 ひとえに、その話題性に理由がある。
 「スイーツ(笑)」という風潮が蔓延している今だからこそ、
私はケータイ小説(笑)の白眉である恋空(笑)に大きな関心があるのだ。

 私の寡少な読書経験と個人的嗜好から厚顔無恥なことを言わせて貰えば、
恋空(笑)はつまらない。

 無意味にもう一度言うが、つまらない。

 あと地の分が三人称視点で「美嘉は~」と書いてある中に
突然美嘉の心中の独白が出てくるため、読みにくい。

 私が恋空というものに対する文句はこれだけである。

 文が小学生みたいなところとか、漢字の使用率が少ないこととか、
「ちょ~お腹へったし♪♪」から始まることとか、
妙に「!」「?」「♪」が多いところとか、他の不満点は解消できた。

 これらは全て読者層を考えてのことである。

 恋空(笑)のターゲットはスイーツ(笑)さんたちである。
ごめん嘘。女子中高生あたりである。(成人しているスイーツ(笑)さんたちに失礼)

 漢字の使用率が低いのは、読める漢字がそれほど多くはない読者に対しての配慮である。
あまりに多くの漢字が使用してあると、それだけで辟易してしまい読まれない。
同様の狙いから、「!」や「♪」の多用、インパクトのある台詞からの書き出しが
用いられているのだろう。

 誰の言葉だったか私の矮小な脳は記憶に留めて置けなかったが、
台詞で始まる小説は総じて糞という言葉があった。あったはず。
書き出しはその話の顔である。
始め三行で読者の興味を引けなかったら負けである。
だからこそ、書き出しは「何が起こっているのか」や「どんな話なのか」をちらつかせ、
続きを読みたいと思わせるようなものでなくてはならない。

 それと同時に、話の舞台・主人公・状況・世界観等を理解させなくてはいけない。
主人公が医者なら手術室から始まったり、サラリーマンなら会社から始まったり、
サスペンスなら殺人現場から始まったり、まあとにかく色々手段はある。
しかし恋空(笑)は違う。主人公は読者と近い女子高生である。
余計な説明は必要なく、ただありふれた女子高生であるとだけ書けばいい。
だからこその台詞からの書き出しなのである。
この口調、この音符。この一言の台詞だけで目的の大半が達成出来ている。
実によく出来た書き出しだ。

 そして本文だが、ケータイ小説は当然ながら携帯電話で読むことを想定して書かれている。
我々が小説と聞いて思い浮かべるような文体で書いていくと
一ページに入りきらずごちゃごちゃしてしまうのである。

 一文を20文字程度に収めるのが読みやすい。
そのルールに順ずると自然に文章が安っぽく見える。
しかしそれは紙とケータイ画面という媒体の違いを考慮した書き方の結果なのだ。

 加えて言えば、ケータイ小説は紙に書かれた小説と違って話が確認がしにくい。
少しページをめくって「ああ、こんなことがあったな」と話の筋を確認することはよくあるが、
ケータイ小説で場面を戻すのは何度もクリックしなくてはいけない。
一画面に出せる文の量が少なすぎるからだ。
話の展開が少し難しかったり状況が把握出来ないような文だと、
読者に作業を強いることになり、最後まで読んでもらえない。
だからこその文体であり、このことを挙げて恋空(笑)だのケータイ小説(笑)だの言うのは的の外れた意見である。



 風評だけを聞いて、恋空(笑)と言っている人たちは情報に踊らされているという点でスイーツ(笑)と差がない。

 恋空(笑)は、読書をしない層を狙うということとケータイで読むということを踏まえて書かれた素晴らしい小説です。
その技術を見ずに無闇やたらに馬鹿にするのは早計である。
是非一度読破することをお勧めする。
当然金など払う必要はない。検索すればロハで読める。
そして読んで時間を無駄にしろ。
糞話だから。


 一人でも多くの人が、すばらしいしょうせつかである美嘉さんの作品を読んでしまいますように。